『ごんぎつね』
新美南吉の代表作
教科書にももう長いこと掲載され続けている名作
わりとカラッとした文体に油断してると
最後にやられてしまうぞ、要注意
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兵十は、火なわ銃をばたりと、とりおとしました。青いけむりが、まだつつ口からほそくでていました。
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この、ぐったりと目を瞑(つむ)るごんの脇に立ち昇る〈青いけむり〉の描写、
これだけでもう一遍の映画を観たよう
これもなんと、
南吉18歳のときの作品
改めてこんなにたくさんの南吉作品を読んでみて、子どもの私がどうしてこの作家に惹かれたかがわかった
人は基本残酷な生き物だと思っているので
昔も今も、夢ゆめした話が苦手。
子どもの頃は特に「通りゃんせ」などの短調な調べが心地よく、甘美にさえ感じていた。
金子光晴や三好達治、山頭火でも特に
寂しい作品に惹かれる。
〈哀しさ〉こそ本物だと思っているのかもなあ
冷たく澄んだその〈哀しさ〉を
白い毛のぽかぽか生えたきつねの小さい手がすくい取って差し出してくるような
そんな南吉の作品が好きでしょうがない